受賞者

森本先生(2018受賞者)論文要旨と謝辞

論文要旨

記憶型T細胞は、「免疫記憶」を司る細胞として病原体を効率よく排除する一方で、喘息などの慢性炎症性疾患の原因となりうる。喘息は気道周囲の線維化などの気道リモデリングを伴う慢性アレルギー性炎症性疾患であるが、組織線維化を誘導する機序は不明である。
筆者らは、記憶型2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)の亜集団がインターロイキン33(IL-33)刺激によってアンフィレグリンを多量に産生することを見出した。さらに、このアンフィレグリンによって好酸球は炎症状態へと誘導され、細胞外基質タンパク質であるオステオポンチンの産生を促すことで気道周囲の線維化を促進することを明らかにした。ヒトにおける好酸球性慢性アレルギー性炎症性疾患として好酸球性副鼻腔炎患者のポリープを解析したところ、アンフィレグリン産生CRTH2highCD161high記憶型Th2細胞およびオステオポンチン産生好酸球の集簇を伴う線維性変化を認めた。
以上より、IL-33−アンフィレグリン−オステオポンチンという経路が、好酸球性気道炎症における線維化を誘導し、慢性アレルギー性疾患の組織線維化治療に対して新たな治療標的となりうる可能性が示唆された。

森本侑樹
千葉大学医学研究院頭頸部腫瘍学
Amphiregulin-producing pathogenic memory T helper 2 cells instruct eosinophils to secrete ostepontin and facilitate airway fibrosis.
Immunity 2018.

謝辞

この度は、栄えある奥田記念財団学術賞にお選び頂き、誠にありがとうございます。今回の受賞にあたりまして、岡本美孝先生をはじめとした当教室の先生方、ならびに中山俊憲先生をはじめとする本学免疫発生学教室の皆様より多くのご支援を賜りましたことを、ここに感謝申し上げます。難治性の気道アレルギー性疾患である好酸球性副鼻腔炎における病態形成メカニズムの理解を深めることで、新たな治療戦略を一日でも早く患者様のもとへお届けしたいという決意を胸に、今後も研究に邁進して参ります。

森本 侑樹